ホタルの独り言 Part 2

ホタルをはじめ、様々な昆虫の写真や自然風景の写真を掲載しています

ホタルの人工増殖は自然破壊!?

「ホタルの生息環境や生態系無視」


昨日付けの新聞に次のような記事が掲載されていた。

 初夏の風物詩、ホタルの乱舞。自然再生のシンボルとしてホタルを復活させる試みが各地で取り組まれ、○○も市民の手でホタルの名所となった。しかし「観光目的で生息環境や生態系を無視したホタルの増殖は自然破壊だ」と指摘する専門家もいる。日本人の心をとらえて放さない幻想的なホタルの光が今、観光資源と自然環境保護のはざまで揺れている。

 ○○では、三十年以上前から市民有志がホタルの放流活動に取り組み、現在は市民団体「○○ホタルの会」が幼虫の養殖やえづけなどの管理を続けている。○○公園では、六月初旬から中旬の最盛期にはホタル観賞会を開催。今年も多い日で一晩に二千匹以上のホタルが乱舞し、観賞者は延べ二万人超と有数の観光スポットになっており、環境省の「ふるさといきものの里」に選ばれている。
 「ホタルの生息環境を守るため、河川の清掃や間伐など水域保全活動に取り組んでいる。小学生と一緒に幼虫を放流するのも環境教育の一環」と、○○ホタルの会の事務局長は活動の意義を強調する。
 一方、疑問を投げ掛けるのは、県立博物館の研究者たちだ。
 人工的に養殖した幼虫の毎年の放流や幼虫の餌となるカワニナの供給、外敵から守る防護ネットの設置などの活動について、「生態系を無視した行為で、遺伝子汚染を招いている」と指摘。環境シンポジウムなどで警鐘を鳴らす。
 研究者たちは「ゲンジボタルは水田や人里に生息し、○○公園のような森で乱舞することはありえない。イベントのために、本来すめない環境に無理やり増殖させようとしている」と批判する。 ○○大学の教授も「全く同意見。少なくとも今以上の放流拡大はやめるべきだ」と要望する。
 だが、ホタルの会の三十年以上にわたる活動は、市民を楽しませるイベントとして定着しているのは紛れもない事実だ。

 「ホタルまつり」というイベントそのものは悪いことではないと思うが、人が見るために、人の手によってホタルの生態や生態系を無視してホタルを無理矢理を飛ばすのと、ホタルのために、ホタルの生態と生態系を重視してホタルを自然発生させて、そっと鑑賞するのとでは、同じイベントでもまったく違う。前者の方法では、小学生の環境教育にしても、間違ったことを教育していることにもなると思う。ホタルの保護や環境の保全、再生は、「人のため」という気持ちや目的を省かなくてはならないと思う。

by 東京にそだつホタル