
私は、ホタルの自然発生地の保全とそれらホタルの舞う風景を写真という記録に残すことを使命と考えて、これまで沢山のホタルの風景写真を撮影してきたが、ホタルが乱舞している風景写真を撮影する時に用いていた特殊なフィルムが、製造中止となってしまった。1つは、幻想的な写真を撮りたくて愛用していたコダックEPJ、もう1つは、ヒメボタルに用いたコダックEPHである。たいへん残念でならない。理由は、デジタルカメラの普及に伴うここ数年における急激な需要の落込みのための製造及び販売の終了。後者は、ISO400を増感すればいいが、前者においては、どうしようもない。デジタルカメラでは、いとも簡単に色調の調整ができるが、デジタルカメラを持っていない銀塩カメラ派の自分には、フィルムがなければ撮影すらできない。
ホタルの舞う風景の中では、人間の目と感性はすばらしい。その見た感動を写真に写すことは至難の業だ。ホタルの光を写すことは簡単だが、その場の感動風景を表現するのが難しい。これまで現実の色を再現することから逃げて、特殊フィルムによる撮影でごまかしていた部分もある。今後の課題は、いかにホタルと周囲の自然環境を現実の色において、雰囲気までも忠実に再現するかであろう。私の撮りたいホタル写真は、ホタルの光跡だけでなく、ホタルの生息する自然環境である。単なる風景写真ではなく、生態学的記録である。
プロもアマもデジタルカメラへの移行が激しい。あるプロのカメラマンが、デジタルカメラでのホタル写真の撮影技法を公開したことによって、急激にデジタルのホタル写真が増えた。批判はしない。虚偽さえなければ、デジタルならではの撮影技法と加工処理は、銀塩では撮影できない領域にも達する。しかしデジタルカメラを持っていない私は、銀塩を極めたいと思うし、デジタルカメラに変えるのはそれからでも遅くないと思っている。(何より金銭的余裕が必要だが・・・)
そんなわけで、今年からホタルの風景写真は、富士フイルムのリバーサルフィルム/プロビア400Xのみで撮影しているが、掲載の写真は、何とかその場の雰囲気を少しは再現出来たかなと思っている。点数を付ければ100点満点で30点くらいだろうか・・・ホタルの発生初期でしかも飛び始めたばかりの時間なので、飛翔数は極端に少ないが、東京に残された貴重なホタルの自然発生地の風景である。(デジタルならば、ホタルの光をいくらでも合成できるのだろう・・・)
オリンパスOM-2 ズイコー50mm F1.8 2分間露光 プロビア400X使用
東京ゲンジボタル研究所/古河義仁 その他の写真はホームページ/「ホタルの写真」をご覧ください。