今日の東京は、気圧配置の関係で涼しい。天気は曇りで「夏の終わり」というよりも「秋の気配」を感じる。蒸し暑い真夏には、クーラーの効いている部屋でさえクラシック音楽を聴くには辛いが、そろそろが心地よく聴ける季節だ。
私が聴いて涙を流す作品が2つある。1つは、ベートーヴェンの交響曲第9番、もう1つは、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」である。今日は「悲愴」について紹介したいと思う。
この「悲愴」、チャイコフスキー自身も言っているが、彼の交響曲の中ではメロディー・リズム・ハーモニー・構成、そしてオーケストレーションにおいて最高傑作であると思う。好き嫌いはあるだろうが、一度は真剣に聴いておくべき作品だ。ただし、クラシック入門としては避けた方が良い。聴くには、相当の覚悟が必要だ。チャイコフスキーが弟とともに名付けた標題「悲愴」、静かで控えめな苦しみではなく、初演の直後に死んでしまったチャイコフスキーの人生の苦悩が、これでもかと襲いかかってくる。すさまじい程の感情がむき出しの作品だからだ。
指揮者やオーケストラの特徴が出やすい作品でもあるので、聴き比べてみるのも面白い。お薦めは、ムラヴィンスキー・レニングラードフィルの演奏とゲルギエフ・ウィーンフィルの2つである。前者は少々音が粗いが、度肝を抜く演奏である。名盤と言われており、チャイコフスキーを知るには充分である。後者は、ゲルギエフがゲルギエフの故郷でおきた事件に対する悲しみから、異例の暴走気味であるが、ウィーンフィルが実力を200%発揮した演奏で、弦楽器も管楽器もすばらしい。中でも木管楽器の音の美しさは他に類を見ない。フルート曲では、決して綺麗とは思えないツュルツの24金フルートが、このライブ録音では柔らかにとけ込んでいる。
まだ聴いたことのない方は、ぜひ覚悟の上、どっぷりと音の流れに浸かってほしい。
視聴はこちらから。
交響曲第6番第Ⅰ楽章
交響曲第6番第Ⅱ楽章
交響曲第6番第Ⅲ楽章
交響曲第6番第Ⅳ楽章
交響曲第5番第Ⅳ楽章