ホタルの独り言 Part 2

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ギフチョウのイエローバンド

 ギフチョウのイエローバンドは、長野県のごく一部で見られる常染色体劣性遺伝により引き継がれている地理的変異で、 通常の個体に比べ翅の縁毛が全て黄色になり、翅の外縁部が黄色の毛で縁取られる型である。昨年に引き続き、今年もイエローバンドを撮影するために信州へ。
 まず、昨年同様の5月5日に訪問。しかしギフチョウがまったくいない。数頭飛んでいたと聞いたが、筆者は1頭も目撃できなかった。次に5月11日。2週連続での探索である。前夜から車中泊し、現地ポイントに早朝から10時まで待機したが、ギフチョウの姿がまったくない。飛んでくるのは、スジグロシロチョウとコツバメだけ。天気は良く、気温は13℃。ポイントが日陰になってきたところで林内に移動。蝶道で待機していると、ようやく1頭が飛来。その後9頭ほどが飛来し、撮影できた2頭の内、1頭がイエローバンドであった。熊笹が茂る急斜面を飛翔しており、葉に止まったところでカメラを向けたが、イエローバンドの特徴が分かる証拠程度の写真1枚しか撮ることができなかった。
 以下に掲載したギフチョウのイエローバンドの写真は、1枚目が今年撮影したもので、2枚目以降は昨年撮影したものである。

 昨年はギフチョウの発生が早かったが、今年も3月下旬には神奈川で発生が始まり、信州もGW期間中にピークを迎えるものと思われた。しかしながら、4月上旬に寒波の来襲があり、信州は雪(東京都内の多摩地域でも雪)が積もるという状況であった。おそらく、羽化準備をしていた蛹の中には死滅したものも多いのであろう。他の地域でも発生が遅く、個体数がかなり少ないと言う。
 ギフチョウは一年一化であるから、発生した個体数が少なければ産卵数も少ない。来年以降の発生数も心配である。にも関わらず、網を振るって採れるだけ採る輩が多い。採集者には、ギフチョウを保全する気持ちはまったくない。自身の標本箱に多くのギフチョウを並べることだけが目的だ。

 ギフチョウ Luehdorfia japonica Leech, 1889 は、アゲハチョウ科(Family Papilionidae)ウスバアゲハ亜科(Subfamily Parnassiinae)ギフチョウ属(Genus Luehdorfia)に分類される里山に生息するチョウで、氷河期の頃から地球環境の変化に耐えて生き残ったと考えられている。 ギフチョウは、吸蜜植物が開花し食草の新葉が出る春に合わせて成虫が羽化・産卵し、葉が硬くなり林冠が閉鎖する真夏が来る前に蛹になる。 そして夏から翌春までの長い期間を蛹で過すという雑木林の季節変化にあわせた生態を持った「春の女神」(スプリング・エフェメラル)である。
 環境省カテゴリでは絶滅危惧Ⅱ類(VU) に、多くの地方自治体のRDBでも絶滅危惧Ⅰ類やⅡ類に選定されている。長野県白馬村では、ギフチョウとヒメギフチョウを昭和49年10月1日に村の天然記念物に指定し、成虫だけなく、卵、幼虫、蛹も含めて捕獲を禁止している。 また平成22年度より天然記念物の捕獲等については、条例で10万円以下の罰金などの罰則が課される。

 今回の遠征で愛車の総走行距離は、140,000kmを超えた。どれだけ走っても昨今は充実感がない。気が付けば、今年になってから自然風景写真は「星空」しか撮っていないし、昆虫写真も満足できる成果がない。里山を散策しながら、出会った風景や昆虫を撮るのも楽しいに違いないが、年初に掲げた目標に拘っているために、未達ならば心折れる充足感のない週末で終わる。

*以下の掲載写真は、クリックしますと別窓で拡大表示されます。

ギフチョウ(イエローバンド)の写真

ギフチョウのイエローバンド(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 500 +2/3EV(撮影地:長野県 2019.5.11 10:34)

ギフチョウ(イエローバンド)の写真

ギフチョウのイエローバンド(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 200(撮影地:長野県 2018.5.05 11:04)

ギフチョウ(イエローバンド)の写真

ギフチョウのイエローバンド(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 250(撮影地:長野県 2018.5.05 11:04)

ギフチョウ(イエローバンド)の写真

ギフチョウのイエローバンド(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 200(撮影地:長野県 2018.5.05 11:03)

ギフチョウ(イエローバンド)の写真

ギフチョウのイエローバンド(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 200(撮影地:長野県 2018.5.05 10:34)

ギフチョウの生息環境の写真

ギフチョウの生息環境

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