ホタルの独り言 Part 2

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ホタル前線今年は一週間早め?


 ある民間気象情報会社が、全国に約1万人いる同社のリポーターからの観測報告や、気象庁が鳥の初鳴きや花の開花時期などを調べた「生物季節観測」データに基づく過去の傾向、気温などからホタルが舞い始める時期を予測した。それによると、今年は一週間早めであるという。実際に調べてみると一週間から10日ほどホタルの発生が早い地域が多い。

 同社は、その理由を「幼虫時代に、水温が16℃を下回ると発育が鈍くなると言われているが冬~初夏の気温が平年よりも高かったため、川の水温もやや高めで推移したと思われる。つまり、暖冬の影響で幼虫が順調に育ったためである。」としている。

 これは、大きな間違いである。ゲンジボタルの成虫の発生時期を決定づける要因は、幼虫の上陸時期と上陸後の土の温度である。幼虫の上陸は、気温・水温・日長時間、そして降雨が関係している。暖冬で水温や気温が高くても、ある日長時間に達しなければ上陸しないし、気温・水温・日長時間の条件が満たされても雨が降らなければ上陸しない。そして、上陸した後は有効積算温度に左右される。暖かければ蛹化までの日数は短くなる。幼虫の上陸が例年と同じ日であっても、積算温度により一週間は前後するし、上陸が例年と一週間前後としても、その後の積算温度により変化する。さらには、羽化した成虫が地上に出てくるタイミングも降雨が関与している。それにより2~3日はずれる。

「幼虫時代に、水温が16℃を下回ると発育が鈍くなる・・・」
確かに水温が高ければ生育はよいが、ゲンジボタルの幼虫は、2年越し、3年越しもいて上陸時期の遙か以前に終齢に達して、その時を今か今かと待ち望んでいる幼虫が多いのである。ホタル前線今年が一週間早めなのは、「暖冬の影響で幼虫が順調に育ったため」ではないのである。

 ホタル生態の正しい知識もなく、ホタル鑑賞のための情報をただ提供する姿勢に疑問を感じる。

東京ゲンジボタル研究所/古河義仁    ホームページ/「東京にそだつホタル