ホタルの独り言 Part 2

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幻の蝶

 これまで、そこそこの種数の昆虫を撮影してきたが、絶滅危惧種であっても生息地に行けば撮影ができた。知人から生息地をご教示いただいて楽に撮影に至った種もあるが、多くは自力で生息地を探してきた。一番苦労したのは、オオキトンボである。
 自宅から比較的近距離である栃木県の生息地に4年間で6回通ったが、どうやら絶滅した模様。ならば多産地である兵庫県に行くしかない。とは言っても、どこに行けばよいか分からない。 まずは、生息環境を学び、兵庫県内にある数千という池を1つ1つ航空写真で調べる。ターゲットにした池に行ってみるが見つからない。今度は、生態と活動時間等を調べ、再度行ってみる。 この繰り返しで、2年の間に往復1,100kmを4回通ってようやく撮れた。

 現在、オオキトンボよりも撮影に苦労している昆虫がいる。ヒサマツミドリシジミである。確実な生息場所なのに撮ることができないのである。 目的は、図鑑写真、そして生態写真を撮ること。兵庫県北部の有名な多産地に行けば高確率で撮影可能だが、距離もある上に採集者も多いので、北陸の生息場所に何度となく訪れた。メスは、吸水している様子と開翅の写真を昨年の9月に3泊4日の4日目にようやく撮影できたが、、オスは、未だに撮影どころかその姿さえ確認できていないのである。
 今年の6月18日には、私は生息地Bにおいて成果ゼロであったにも関わらず、同日、知人は生息地Aにおいてオスの吸水と開翅の観察をしている。それならばと、生息地Aに7月2日に行ってみたのだが、6時間以上も張り込んで1頭も確認できなかった。15時半からゼフィルスがテリトリーを見張りはじめ、2頭が卍飛翔を行った。種の同定ができなかったのが少々心残りである(エゾミドリシジミも可能性が大である)が、いずれにせよ、私にとってヒサマツミドリシジミは、依然として幻の蝶なのである。

  • 2015年6月27日~28日 生息地A地区 成果なし
  • 2015年7月04日 生息地A地区 成果なし
  • 2015年7月10日 生息地A地区及びB地区 成果なし
  • 2015年9月20日~23日 生息地A地区 メスの吸水行動の撮影
  • 2016年5月28日 生息地A地区及びB地区 成果なし
  • 2016年6月18日 生息地B地区 成果なし
  • 2016年7月02日 生息地A地区 成果なし

 ヒサマツミドリシジミの生息場所は分かっている。そして生態に関する知識も得た。ヒサマツミドリシジミは、5月の下旬には羽化するが、その後一ヵ月ほどは、オスはテリトリーを見張る行動を一切せず、天候のよい日は雌雄ともに吸水するが、それ以外はほとんど飛ぶことなくじっとしている。7月になってから、オスはテリトリーを見張る行動を行い、メスとの交尾に至る。オスは、交尾後に死んでしまうが、メスは夏眠をし、9月に再び活動を開始して産卵をするのである。また、他地域のヒサマツミドリシジミは、羽化後は、生育した場所を離れて山頂付近に移動するが、生息地B地区では、生育場所に留まって一生を終えるのである。
 しかしながら、北陸においても地域特性があろう。活動時刻にも差があるかもしれない。生息地A地区における生態は、知人ともに自ら調べるしかない。ただし、時期的に梅雨と重なり、 特に北陸は雨の日が多いから、週末しか動けない私には難儀である。

 日本国内のゼフィルスは25種で、未撮影種は、キタアカシジミとヒサマツミドリシジミであり、まずはヒサマツミドリシジミを収めたい。 証拠程度の写真ではダメで、誰もが、「これぞヒサマツミドリシジミ!」というオスが開翅した美しい図鑑写真とテリトリーを見張る生態写真を撮りたい。北陸の生息地において撮影するには、ポイントにて羽化後の不活性時期に吸水にくるタイミングを狙うのが一番良いという結論に至った。来年は、これまでの経験と知識を活かして、何としても美しい姿を収めたいと思う。その後に、行動を観察してテリトリーを見張る生態写真という順である。
以下に、北陸における生息環境の写真のみを掲載する。渓谷の断崖に群生するウラジロガシを食樹としている。

 (その後、5年経過した2021年6月に北陸の生息地にてオスの撮影に成功した。)

 今期、ヒロオビミドリシジミのリベンジを逃したが、まだウラジロミドリシジミとアイノミドリシジミ、そしてキリシマミドリシジミのリベンジが残っているので、天候が良いことを祈りながら気合を入れて望んでいきたいと思う。

ヒサマツミドリシジミの生息地

ヒサマツミドリシジミの生息地A

ヒサマツミドリシジミの生息地

ヒサマツミドリシジミの生息地B

ヒサマツミドリシジミの生息地

ヒサマツミドリシジミの吸水ポイント(生息地A)

ヒサマツミドリシジミの生息地

ヒサマツミドリシジミの生息地A

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