ホタルの独り言 Part 2

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ゲンジボタルの発光現象の仕組みをとらえる

ゲンジボタルの発光現象の仕組みをとらえる
- 世界最大の放射光施設SPring-8の光が解き明かすゲンジボタル発光の謎 -

独立行政法人理化学研究所野依良治理事長)は、国立大学法人京都大学と共同で、ホタルが黄緑色に光るメカニズムを世界で初めて原子レベルで解明することに成功しました。ホタルの発光に関わる酵素(タンパク質)「ルシフェラーゼ」をはじめとする生物発光に関与する物質はすでに知られていましたが、今回、大型放射光施設(SPring-8)の理研構造生物学ビームラインI(BL45XU)と理研構造生物学ビームラインII(BL44B2)を用いて、ルシフェラーゼの立体構造を解明し、さらに発光色を決定しているメカニズムを明らかにしました。この研究成果は、理研播磨研究所メンブレンダイナミクス研究グループの中津亨連携研究員(京都大学大学院薬学研究科助教授)、市山進連携研究員(学習院大学助手)、小橋信行連携研究員(現在は中央研究所吉田化学遺伝学研究室)、加藤博章チームリーダー(京都大学大学院薬学研究科教授)、京都大学化学研究所平竹潤助教授らの研究グループによるものです。
 これまで、ホタルによる黄緑色の発光はタンパク質であるルシフェラーゼと発光基質であるルシフェリンとの反応により生じること、さらにはルシフェラーゼの種類や反応条件の違いで発光色が黄緑から橙色や赤色に変化することが知られていました。しかしこうした現象が生じるメカニズムの多くは、大きな謎となっていました。
 研究グループは、日本の代表的なホタルであり、アメリカ産ホタルの近縁種でもあるゲンジボタルを材料に使い、この幻想的な光を放つゲンジボタルのルシフェラーゼの立体構造が反応の経過にともなって変化していくさまを精密に捕らえ、この謎を解き明かしました。すなわちルシフェラーゼは、発光の際に、ルシフェリンから生じた発光体「オキシルシフェリン」を強く握りしめるような構造をとり、オキシルシフェリン分子が強く固定されることで化学エネルギーが無駄なく使われ黄緑色になり、握りが緩いとエネルギーが失われて赤色になることを突き止めました。
 今回の成果は、精巧な分子装置である生物発光がどのようにして行われているのかを解明しただけでなく、全く新しい発光システム構築などへの応用を可能にするものです。本研究成果は、英国の科学雑誌『nature』(3月16日号)に掲載されます。

独立行政法人 理化学研究所 プレスリリース
財団法人高輝度光科学研究センタープレスリリース
SPring-8 News
東京にそだつホタル