東京でもホタル(ゲンジボタル)の発生がピークを迎え、7月になればヒメボタルが乱舞を始める。インターネット上では、各地のホタルの飛翔風景を写した写真が次々とアップされているが、ホタルの成虫のマクロ写真は、それほど多くない。
マクロ写真とは、小さな被写体を大きく写したもので、マクロレンズやクローズアップレンズを用いて、花や様々な昆虫を近距離で撮影(接写)したものだが、デジタルカメラでなくても最新のスマートフォンには、被写体に2センチまで近づける自動マクロ機能が搭載され、小さな世界を手軽に楽しむことができる。(掲載写真のすべては、クリックすると別窓で拡大表示される。)

ホタル(ゲンジボタル)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO

ホタル(ゲンジボタル)
OLYMPUS OM-2 / ZUIKO MC AUTO-MACRO 50mm F3.5 / FUJICHROME Provia400F Professional
ホタルは、発光する昆虫である。小さな昆虫が自ら光を放つ姿は、科学的な知識を持っていてもなお神秘的だ。マクロ写真においても夜間に発光している様子を収めたい。ホタルの乱舞を写した風景写真の魅力が「自然全体の幻想的な美しさ」にあるとすれば、光るホタル一匹を捉えたマクロ写真の魅力は、「一つの命そのものに迫れること」にある。
乱舞の写真では、私たちは「光景」として見る。無数の光が織りなす幻想的な世界、里山の夜の静けさ、季節感・・・。そこでは、ホタルの光は風景の一部として存在する。一方、マクロ写真では、主役はあくまで「一匹のホタル」だ。光を放つ腹部の神秘的な輝きや繊細な質感、細い脚で草につかまる姿や触角を伸ばし懸命に光るしぐさ等、細部を見ることで、私たちは初めて「ホタルもまた懸命に生きる小さな命なのだ」と実感する。

ホタル(ゲンジボタル)
OLYMPUS OM-2 / ZUIKO MC AUTO-MACRO 50mm F3.5 / FUJICHROME Provia400F Professional

ホタル(ゲンジボタル)
OLYMPUS OM-2 / ZUIKO MC AUTO-MACRO 50mm F3.5 / FUJICHROME Provia400F Professional

ホタル(ゲンジボタル)
OLYMPUS OM-2 / ZUIKO MC AUTO-MACRO 50mm F3.5 / FUJICHROME Provia400F Professional
上に掲載した3枚の写真は、オリンパスOM-2というフィルムカメラにフジクローム・プロビア400F プロフェッショナルという粒状性の良さと豊かな階調自然な色再現を両立したプロ用リバーサルフィルムを使って撮影したもので、原版のポジをニコンのフィルムスキャナーでスキャンしてデジタル画像にしている。
ご覧いただいて分かるように、ホタルにストロボを照射しているが、自然発生地においてストロボなど照明を照射することは、配偶行動の妨げになるので絶対にしてはいけない。この写真は、人工飼育して羽化させた個体を自宅の室内にセットを組んで撮影した写真である。以下には、自然発生地にてストロボを使用せずにデジタルカメラで撮影した写真4枚を掲載した。
乱舞の写真が「群れの美しさ」を表現するのに対し、マクロ写真は「個の物語」を語る。その一匹は、今まさに伴侶を求めて光っているのかもしれない。あるいは、その短い一生の最後の輝きなのかもしれない。さらに、肉眼では暗闇の中で一瞬しか見えない発光の様子を、静止した時間としてじっくり見つめられるのもマクロ写真ならではである。
人々は「ホタルの光」を見ているようで、実際には「ホタルそのもの」をほとんど見ていない。マクロ写真は、その見過ごしていた存在の姿を見ることができる。「ホタルのいる風景」を写した乱舞の写真とは違う「ホタルの成虫のマクロ写真」から「ホタルという命」を感じていただければ幸いである。
ホタルの写真は、風景や成虫だけではなく、産卵、卵、孵化、幼虫、幼虫の上陸、蛹化、蛹、羽化と言った一連の生態写真も撮影している。こちら「ホタル生態写真集」をご覧いただきたい。

ホタル(ゲンジボタル)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO

ホタル(ゲンジボタル)
Canon EOS 7D / TAMRON SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1

ホタル(ゲンジボタル)
Canon EOS 7D / TAMRON SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1

満月とホタル(ゲンジボタル)
Canon EOS 7D / TAMRON SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1
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