春の野に、やわらかなピンク色が広がる。
レンゲソウは、ただそこに咲いているだけで、
不思議と心の緊張をほどいてくれる花だ。
「あなたと一緒なら苦痛が和らぐ」
「心が和らぐ」
そんな花言葉を持つのも、うなずける。
けれども、この花には、ひとつの俳句が寄り添っている。
手に取るな
やはり野に置け
蓮華草
摘み取ってしまえば、その美しさは自分のものになる。
けれど同時に、風に揺れる姿や、
広がる景色の一部であることは失われてしまう。
レンゲソウは、手の中にあるよりも、
野の中にあってこそ、
私たちの心をやわらげてくれるのかもしれない。
人もまた同じだろう。
無理に引き寄せなくても、
ただ同じ場所にいて、同じ風を感じるだけで、
心は軽くなる。
触れなくてもいい。
そばにあるだけで、
それだけで、やさしい。
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