綿毛の群れの中で、ただひとつ、風を待つ種がある。
まだ離れずにいる仲間たちの気配を背に受けながら、
その小さな一粒は、静かに覚悟を整えている。
やがて、見えない風がそっと触れる。
その瞬間、ためらいも名残も、やさしくほどけて、
種は空へとほどけるように舞い上がる。
同じ場所で過ごした日々は、決して消えない。
けれど、それぞれが自分の空へ向かう時が来る。
風に乗ることは、離れることではなく、
新しい大地と出会うためのはじまりだから。
どこへ辿り着くのかは、まだ誰にもわからない。
それでも、その一粒は知っている。
遠くの土に根を下ろし、やがてまた、
次の風を生む花になることを。
新入社員が研修を終え、それぞれの配属先へと歩み出していく季節。同じ時間を過ごした仲間たちと離れ、これからは一人ひとりが新しい環境の中で、自分の役割と向き合っていくことになる。夕方、会社の前でたむろっていたり、歩道を横並びで歩く・・・学生気分からは脱却しなければならない。立派な社会人だ。社会のルールも学んでほしい。これから様々な「壁」にぶち当たり、その都度乗り越えていかなければならない。
希望と不安が混沌とする世界に飛び込んだ今、タンポポの綿毛が風に乗って大地へと広がっていくように、その一歩一歩は、やがてどこかで根を張り、芽を出し、それぞれの形で花を咲かせていくだろう。それぞれの場所でしっかりと根を下ろし、豊かに育っていくことを願う。
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タンポポの穂 新しい大地へ
Canon EOS 7D Mark Ⅱ / TAMRON SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO-640 +0.7EV
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