コツバメ Callophrys ferrea (Butler, 1865)は、シジミチョウ科(Family Lycaenidae)カラスシジミ族(Tribe Eumaeini)コツバメ属(Genus Callophrys)に分類されるチョウ。本種は、本ブログ(PartⅡ)において単独で取り上げたことがなかったので紹介しておきたい。
北海道、本州、四国、九州に分布し、国外ではロシア極東地域・中国東北部・朝鮮半島などにも分布するが、それぞれ別亜種とされている。丘陵地~山地の雑木林や渓流沿いに生息し、年1回の発生で、3~4月頃に早春のみ見られるスプリング・エフェメラルである。初夏までに蛹化を終え、蛹の状態で夏、秋、冬を越して翌春に羽化する。食草は、ツツジ科のアセビやバラ科コデマリやボケの他に、ガマズミ(スイカズラ科)、アカショウマ(ユキノシタ科)など多くの植物の花、蕾、実である。
この時期、日あたりのよい山道を歩くと、小さな黒っぽいチョウが敏速に飛び回る姿を見る。コツバメである。ツバメシジミやムラサキツバメなどツバメと名の付くチョウは、後翅にある尾状突起が鳥のツバメの尾を連想させるが、コツバメには尾状突起がない。おそらく敏捷に飛ぶ姿がツバメのようだから名付けられたのであろう。
敏速に飛ぶが、長く飛び続けることはなく、すぐに草の葉や地面にとまる。気温の低い午前中は、太陽に向けて体を横倒しにして体を温めるように止まることが多い。また、突き出した小枝の先でテリトリーを見張り、他のチョウが近づくと激しく追飛する行動を頻繁に見ることができる。
翅裏はオス・メスともに濃茶褐色で、外側に波状の白い線が入り、後翅には灰色の小点が散らばっている。メスの翅表は全体がうすいメタリックブルーで、オスは中心に近い部分だけが青色であるが、翅を開いて止まることはなく、その美しさは飛んでいる時に一瞬だけ確認できるだけである。体毛が発達しているのも大きな特徴で、全身がふさふさの毛で覆われている。
コツバメは、環境省版レッドリストに記載はないが、都道府県版レッドリストでは、千葉県で絶滅危惧Ⅰ類、福岡県・鹿児島県で絶滅危惧Ⅱ類、東京都・埼玉県・長崎県・宮崎県で準絶滅危惧としている。生息地である低山地の落葉広葉樹の周辺は人為による環境改変を受けやすく、本種減少の主因と考えられる。
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コツバメ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/800秒 ISO 400
(撮影地:東京都あきる野市 2011.4.16 9:05)

コツバメ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 400
(撮影地:東京都あきる野市 2011.4.16 9:05)

コツバメ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F5.6 1/320秒 ISO 200
(撮影地:東京都あきる野市 2012.4.08 10:37)

コツバメ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F5.6 1/400秒 ISO 200
(撮影地:東京都あきる野市 2012.4.08 10:50)

コツバメ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 320
(撮影地:東京都あきる野市 2012.4.08 10:52)

コツバメ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 200
(撮影地:東京都あきる野市 2012.5.12 8:32)
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