~蔵出し写真⑲~
厳冬の湖畔
音という音が凍りついた朝。
木々は光でできた殻をまとい
その中に
光を閉じ込めて立っていた。
それは雪ではなく、霜でもない。
雨が、凍ることを忘れたまま降り
触れた瞬間にだけ
世界をガラスへと変えていった痕跡。
逆光の朝日が触れるたび
雨氷は小さく瞬き
私はただ
息を潜めたまま、そこにいた。
この景色は
一夜の偶然が残した沈黙の結晶。
誰にも知られぬまま
世界が一度だけ
壊れやすい美しさを選んだ瞬間だった。
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Freezing Rain(雨氷)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F3.5 1/4秒 ISO 100(撮影地:長野県諏訪市 2012.3.03 6:12)
Freezing Rain(雨氷)とは、暖かい上層から雨として降ってきた水滴が、地表付近で凍らずに液体のまま「過冷却」状態になり、0℃以下の木の枝などに付着した瞬間に、衝撃や接触をきっかけとして一瞬で凍りつき氷となったもので、霧氷が白く不透明なのに対し、雨氷は透明で硬い氷の層であり、木々はガラス細工のようにコーティングされる。その美しさから「アナ雪の世界」に例えられる神秘的な現象である。上空に暖かい空気の層があり、地表付近には0℃以下の冷たい空気が溜まっている「気温の逆転層」という特別な気象条件であることが必須であり、数年に一度、あるいは10年に一度と言われるほど目にする機会が少ない珍しい気象現象である。

Freezing Rain(雨氷)
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/100秒 ISO 100 +0.7EV(撮影地:山梨県甲州市 2016.1.31 8:39)
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