まだ暗い時間から、深い雪をかき分けるように歩き始めた。
目的地ははるか遠く、どれだけ進んでも近づいた気がしない。
雪に足を取られて立ち止まり、息を整えては、また歩き出す。
その繰り返しの中で、ただ前だけを見つめていた。
何度も足を取られ、立ち止まるたびに
「このまま進んでいいのだろうか」と自分に問いかけた。
それでも、息を整えては再び歩き出し
自分自身に小さな肯定を積み重ね続けた。
やがて歩き疲れたころ、ふと振り返ってみた。
そこには、自分が辿ってきた足跡が、途切れずに続いていた。
迷いながらも、転びながらも、それでも前に進んできた証が
まるでこれまでの人生をそのまま映したように刻まれていた。
迷った日も、諦めかけた日も
気づかぬうちに自分を支え、前へ押し出していた何かがあったのだと
その足跡が静かに教えてくれた。
そして、その足跡の向こう
遠い山の端から昇ろうとする朝陽が、薄いオレンジの光で空を染めていた。
失敗も遠回りも含めたすべての歩みを
「無駄ではなかったよ」と包み込むような優しい光だった。
前を向けば、不安が立ちふさがり
未来はいつだって、手の届かない雪原の先にある。
けれど振り返れば、自分が積み重ねてきたものだけが
静かに真実を語ってくれる。
その過去に灯る光に励まされながら
人はまた一歩ずつ、前へ歩き出す。
たとえ次の景色がまだ見えなくても。
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雪上の足跡
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F14 1/20秒 ISO-100 +1EV
(撮影地:長野県下諏訪町 2012.1.28 7:15)
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