ホタルの独り言 Part 2

ホタルをはじめ、様々な昆虫の写真や自然風景の写真を掲載しています

私の「ベスト・オブ・富士山」

 富士山は、誰でも写真に撮りたくなる存在だ。外国人旅行者の心情までは分からないが、富士山が唯一無二の山であり、日本の象徴でもあることは確かだ。ほぼ左右対称の円錐形は自然物としては驚くほど整っており、視界に入った瞬間に「美しい」と直感させる力をもっている。また長い歴史の中で“美の基準”として描かれ続けてきたこともあり、文化的な刷り込みが働いて、私たちの感性は自然と「撮りたい」という方向へと導かれる。
 アマチュアの私も、ご多分に漏れず富士山にレンズを向けてきた。その姿は、ただ“そこにある”だけで心の奥に静かなざわめきを生む。光の角度や季節、風の流れが変わるたびにまったく違う表情を見せ、見る者の記憶や感情までも映し出してしまう。だからこそ私はレンズを向けずにはいられない。一瞬の輝きを、自分だけの富士を、そっと留めておきたくなるのだ。
 これまでも、撮影した富士山の写真を葛飾北斎の代表作「富嶽三十六景」にならい、四季を通じて「富嶽十景」や「富嶽十二景」としてまとめてきた。しかし、その中でも冬はひときわ強く心を奪われる季節である。澄んだ空気のなかで雪化粧をまとった姿は、象徴的な美しさを放ち、見る者の心をまっすぐに掴んで離さない。そんな冬のあいだに出会った表情の中から、私の“ベスト・オブ・富士山”と勝手に自己満足している5枚を選んでみた。

 年末には、私自身の一年を振り返った反省と来年の計画立案のために、あくまでも自己満足のベスト10作品を掲載したいと思う。

*以下の掲載写真は、クリックしますと別窓で拡大表示されます。

富士山の写真
「山相」~忍野からダブルトーン富士~
色彩をそぎ落とすと、富士山そのものの“造形”がむき出しに迫ってくる。白と黒の対比は厳しく、静謐でありながら、圧倒的な存在感を放つ。「富士山は本来こういう“形の力”を持つのだ」と思い知らされた。
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/6秒 ISO-100 -1EV<(撮影地:山梨県忍野村 2011.1.03 6:56)

富士山の写真
「冴紅」~雪の箱根と、紅に染まる富士を大観山から~
手前の箱根の雪景と、その奥に燃えるような紅富士。冷と温、静と動、陰と陽。私の休日とも合致した奇跡とも言える美に劇的な広がりを感じた。
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F18 1秒 ISO-100 +1EV(撮影地:神奈川県箱根町/大観山 2020.1.19 6:57)

富士山の写真
「パール紅富士」~紅に染まりかけた富士山の山頂に満月が沈む~
これは、詩のような時間の重なり。太陽と月、紅と白、始まりと終わり。相反するものが一つの山頂に重なる瞬間は、自然の偶然性ではなく「天が見せた演出」のように感じる。ただ美しいだけでなく、息を呑むような神秘の瞬間であった。
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F8.0 1/30秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:静岡県御殿場市 2023.1.08 6:52)

富士山の写真
「浮雲の山」~雲海の向こうに富士が浮かぶ朝~
雲海は静かな海のようで、富士はその彼方に浮かぶ島のよう。オレンジ色の光が、雲と山の境界を曖昧にして、“世界がゆっくりと形を取り戻していく瞬間”を見ているような感覚になった。
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F18 1/6秒 ISO-100 +0.7EV(撮影地:長野県諏訪市/霧ケ峰 2011.2.19 6:32)

富士山の写真
「冬彩」~霧氷のカラマツを前景に、霞んだ空と紅富士~
手前の繊細な霧氷、奥の柔らかな光に包まれた富士。硬質と柔らかさ、近景と遠景が詩的に調和した光景は、日本画のような静かな品格があった。この日、午前8時3分に中央自動車道の笹子トンネルで天井板が崩落し、走行中の車3台が下敷きとなって9名が死亡するという事故が発生した。もし、高ボッチに霧氷が付いていなければ、私も事故に巻き込まれていたかもしれない。
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1/3秒 ISO-100 +0.3EV(撮影地:長野県塩尻市/高ボッチ高原 2012.12.02 6:57)

-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

ホタルの独り言 Part 2 古河義仁/Copyright (C) 2025 Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.