ホタルの独り言 Part 2

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クロツバメシジミ

 クロツバメシジミ Tongeia fischeri(Eversmann, 1843)は、シジミチョウ科(Family Lycaenidae)ヒメシジミ亜科(Subfamily Polyommatinae)ヒメシジミ族(Tribe Polyommatini)クロツバメシジミ属(Genus Tongeia)のチョウである。2013年に撮影し、当時記事にはしているが、本ブログにおいて最新の知見を加えて改めて掲載した。
 本種は、本州、四国、九州、壱岐、対馬に分布する。本州では、群馬県以西に分布し、長野県を中心とする内陸部や中国地方に多いが、生息地は極めて局所的である。また、日本国内では下記の3亜種に分類される。

  • クロツバメシジミ九州沿岸・朝鮮半島亜種(Tongeia fischeri caudalis
  • クロツバメシジミ東日本亜種(Tongeia fischeri japonica
  • クロツバメシジミ西日本亜種(Tongeia fischeri shojii

 クロツバメシジミは、翅裏は灰色地で、白い縁取りのある黒点をもつ。また翅の外縁沿いでは黒点が2列に並び、後翅肛角の2個所はそれに加えて赤斑が伴う。ヤマトシジミ、ツバメシジミと似るが、赤斑の位置や、特徴ともなっているたいへん細く短い尾状突起と翅表の黒色などで、区別はたやすい。
 成虫は多化性で年3~4回発生し、5~11月にかけて見られる。越冬態は幼虫である。人家周辺から低山地の露岩地や河川敷、食草が自生する古い石垣や家屋の屋根上に見られることもあるが、食草からあまり離れず、飛び方も弱々しく移動距離も僅かである。飛び立っても、すぐに草の葉や石の上に止まる。
 本種は、生息域が分断されており地理的変異が著しく、それぞれの分布域で形態的に特徴が見られる。(雌雄は、形態的差異はない)また、生態的にも相違が認められ、沿海の生息地ではタイトゴメを食草とし、内陸の生息地ではツメレンゲやイワレンゲ、一部地域ではマルバマンネングサ、タカネマンネングサなどを食草としている。
 クロツバメシジミは、食草となるツメレンゲなどが生育するごく限られた場所を生活圏とするため、ツメレンゲが消失すると生存は不可能である。ツメレンゲ自体も生育環境は露岩地など特殊な環境に限定されるため、生育地は離散的になり一度消失すると復元は困難である。各亜種ともに環境省レッドリスト2020で準絶滅危惧(NT)に選定されており、どの亜種も分布県で絶滅危惧Ⅰ類や絶滅危惧Ⅱ類に選定している。また、愛知県新城市では町指定の天然記念物となっている。撮影した長野県での食草であるツメレンゲは、ベンケイソウ科イワレンゲ属に分類される多年生の多肉植物で、こちらも環境省レッドリストで準絶滅危惧(NT)に選定されており、33の道府県で絶滅危惧Ⅰ類や絶滅危惧Ⅱ類に指定している。

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クロツバメシジミ

クロツバメシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/125秒 ISO 800(撮影地:長野県松本市 2013.09.23)

クロツバメシジミ

クロツバメシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 320 +1/3EV(撮影地:長野県松本市 2013.09.23)

クロツバメシジミ

クロツバメシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F6.3 1/125秒 ISO 1000(撮影地:長野県松本市 2013.09.23)

クロツバメシジミ

クロツバメシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 400 +1EV(撮影地:長野県松本市 2013.09.23)

クロツバメシジミ

クロツバメシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 400 +1/3EV(撮影地:長野県松本市 2013.09.23)

ツメレンゲ

ツメレンゲ(クロツバメシジミの食草)
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