日本には美しい滝がいくつもあり、その美しさ、音、マイナスイオンで心と体を癒やしてくれる。多くはないがいくつかの滝を撮影しており、日本滝100選に選ばれている名瀑とホタルの写真も撮っている。周辺の自然環境と一体となった滝も美しいが、滝そのもの、特に「直瀑」には不思議な魅力がある。
直瀑の魅力は、ただ水が流れ落ちるという物理現象にとどまらず、時間、生命、そして心の深層に触れるような多層的な美しさがあると思う。時間の関係を深く掘り下げれば、そこには物理的・感覚的・哲学的な時間の三層構造が見えてくる。直瀑は時間そのものを視覚化した存在とも言えるだろう。
フランスの哲学者ジル・ドゥルーズは「第三の時間」という概念を提示し、時間を単なる連続ではなく、断片と生成の場として捉えた。直瀑の水は常に新しく、しかしその流れは一つの形式として持続する。これは彼のいう「永遠の現在」に近い。また、ドイツの哲学者ニーチェの「永遠回帰」は、ある瞬間が無限に繰り返されるという思想だが、滝の一滴が無限に落ち続けると考えると、その一瞬が永遠になるという逆説的な美しさが浮かび上がる。直瀑は、哲学者たちの時間を一身に浴びて、流れながら、止まっているのだ。
直瀑を前にしてカメラを構えた時、私の目には単なる自然現象ではなく、「時間そのものの姿」であり、時間が形を持って流れているように映っている。直瀑を見るという行為は、「流れゆくもの」と「留まり続けるもの」の両方を同時に感じる稀有な体験なのかもしれない。そして「刹那」と「永遠」の交差点をどう写真に写すか・・・それはまさに、視覚詩としての哲学である。
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Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F22 5秒 ISO 100 -1EV

Canon EOS 5D Mark Ⅱ / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO / 絞り優先AE F11 1.6秒 ISO 100 -2/3EV
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