ホタルの独り言 Part 2

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マダラヤンマ

 マダラヤンマ Aeshna mixta soneharai Asahina, 1988 は、ヤンマ科ルリボシヤンマ属である。ルリボシヤンマ属は、国内には以下の4種が生息しており、2種については既に紹介しているが、今回はマダラヤンマについて、先日、かなり近距離での長いホバリングとやはり近距離での静止、そしてオスと同じ瑠璃色の腹部斑紋をもつメスを撮影できたので、過去に撮影した写真と合わせてまとめた。

  1. マダラヤンマ Aeshna mixta soneharai Asahina, 1988
  2. ルリボシヤンマ Aeshna juncea juncea (Linnaeus, 1758)
  3. オオルリボシヤンマ Aeshna crenata Hagen, 1856
  4. イイジマルリボシヤンマ Aeshna subarctica Walker, 1908

 マダラヤンマは、体長約65~70㎜とルリボシヤンマ属の中では小型だが、成熟したオスは腹部斑紋と複眼が瑠璃色となり、とても美しい。メスは、地色は淡い褐色で胸部と腹部には黄緑の紋があるが、本州に生息するものには、複眼と腹部斑紋がオスと同じ瑠璃色となる個体もいる。
 日本特産亜種であり(原名亜種はヨーロッパからシベリアにかけて分布)、北海道西南部、東北地方全域と関東地方の一部、石川県、長野県に分布しており、カンガレイ、ヌマガヤ、フトイ、ヒメガマ、ヨシなどの抽水植物が繁茂する池沼に生息するが、生息地は極めて局地的である。成虫は、7月下旬から8月中旬の間に羽化し、その後、未熟な個体は羽化場所を離れて林などで生活し、およそ一ヵ月で成熟すると池沼に戻ってきて繁殖行動を行うため、池沼は産卵基質であるヒメガマが豊富に生育し、未熟期間を過ごす林(長野県においては、果樹園)に近いことが、生息環境の必須条件となっている。
 環境省RDBで準絶滅危惧種として選定されており、埼玉県、群馬県では、絶滅危惧Ⅰ類、岩手県、山形県、新潟県、富山県、石川県で絶滅危惧Ⅱ類に、栃木県、長野県では準絶滅危惧種に選定している。また、栃木県や長野県では、市の天然記念物に指定している所もあり、ある時期に水を抜いて池干しし、幼虫(ヤゴ)の外敵となるフナを駆除する等の保護・保全活動が行われている。

 マダラヤンマは、地域差もあると思うが、午前7時頃から活動を開始し、成熟したオスは、抽水植物群落の内部や外縁に沿って静止飛翔(ホバリング)を交えた飛翔をしながら探雌する。ホバリングは、長いと1分近くにも及ぶ。メスを見つけると交尾態となり、その後メスは、水際の枯れたヒメガマ等に産卵する。
 午前9時を過ぎると、葉上に静止する個体も出てくる。通常ヤンマ科は枝等にぶら下がる姿勢で止まるが、マダラヤンマは葉上に身体を水平に近い角度に保って止まるのが特徴である。 活動時間と行動は、その日の天候や気温によって変わるようである。晴れて暑い日は、午前10時を過ぎると抽水植物群落の内部に隠れて姿を現さなくなり、夕方近くになると、再び活動を開始する。曇りで気温の変化の少ない日は、午前の活動時間が長くなるようである。

関連記事:「マダラヤンマの産卵」では、オスのホバリングと静止写真のほか、交尾態と産卵の様子も撮影ているので、本記事と併せてご覧いただきたい。

特記事項:当ブログでは、すべての記事において保護・保全上、撮影場所は明記しておりません。本種の場合は、撮影場所は私有地であり、地主様のご厚意により立ち入りが許可されておりますが、マナーの悪い撮影者もいるため、今後、撮影や観察ができなくなる可能性もあります。また本種は、生きた個体や標本が数万円で取引されており、採集が絶えません。絶滅危惧種であるマダラヤンマの保護・保全のためにご理解いただきたくお願い申し上げます。

マダラヤンマの写真
マダラヤンマ / 静止飛翔(ホバリング)するオス
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F5.0 1/400秒 ISO 800 +1/3EV(撮影地:長野県 2016.9.10 9:24)
マダラヤンマの写真
マダラヤンマ / 静止飛翔(ホバリング)するオス
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 200(撮影地:長野県 2016.9.10 8:19)
マダラヤンマの写真
マダラヤンマ / 静止飛翔(ホバリング)するオス
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / 絞り優先AE F4.5 1/250秒 ISO 200(撮影地:栃木県 2012.9.16 10:35)
マダラヤンマの写真
マダラヤンマ / 静止飛翔(ホバリング)するオス
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 1250 +2/3EV(撮影地:長野県 2016.9.10 7:45 逆光気味の斜光で撮影)
マダラヤンマの写真
マダラヤンマ / 静止飛翔(ホバリング)するオス
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 1000(撮影地:長野県 2016.9.10 7:56 逆光気味の斜光で撮影)
マダラヤンマの写真
マダラヤンマ / 葉上静止するオス
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X / 絞り優先AE F8.0 1/800秒 ISO 100 -2/3EV(撮影地:栃木県 2013.9.28 13:08)
マダラヤンマの写真
マダラヤンマ / 葉上静止するオス
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X / 絞り優先AE F8.0 1/800秒 ISO 1250 -1EV(撮影地:栃木県 2013.9.28 13:15)
マダラヤンマの写真
マダラヤンマ / 葉上静止するオス
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F4.0 1/500秒 ISO 250(撮影地:長野県 2016.9.10 9:21)
マダラヤンマの写真
マダラヤンマ / 交尾態(メス型のメス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO + Kenko Teleplus PRO 300 / 絞り優先AE F4.5 1/250秒 ISO 2000 -2/3EV(撮影地:栃木県 2010.10.11 9:55)
マダラヤンマの写真
マダラヤンマ / 交尾態(オス型のメス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/400秒 ISO 2000 +2/3EV(撮影地:長野県 2016.9.10 7:18)
マダラヤンマの写真
マダラヤンマ / 交尾態(オス型のメス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 200(撮影地:長野県 2016.9.10 8:46)
マダラヤンマの写真
マダラヤンマ / 交尾態(オス型のメス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 400 +2/3EV(撮影地:長野県 2016.9.10 8:49)
マダラヤンマの写真
マダラヤンマ / 連結態(オス型のメス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 / 絞り優先AE F6.3 1/500秒 ISO 1250 +2/3EV(撮影地:長野県 2016.9.10 8:52)

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