ヒートアイランド現象を抑制するための対策の一つとして、屋上緑化が急速に普及している。
国や一部地方自治体が屋上緑化に関する補助金制度を整備したこと、更には東京都においては、条例により新築や増改築する一定規模の民間建築物に屋上緑化を、敷地面積1,000 m2以上の新築建物については屋上を20%以上緑化することを義務付けたこともあり、屋上緑化の需要はますます高まってきている。また、屋上緑化の目的も、ヒートアイランド抑制などの省エネルギー効果や建築物の保護効果のみならず、景観・美観の向上、癒し・安らぎの場の創出、宣伝・集客効果など、様々な観点からのニーズが高まっている。
そして、環境教育への関心の高まりのなかで注目されているビオトープ。こうなれば、屋上にビオトープを作ろうと考えるのがビジネスである。特に建設投資の落ち込みに苦しむ業界にとっては、収益を補う新たな分野だ。将来的には全国で1兆円規模の市場になるとの見方もある。
昨今では、屋上ホタルビオトープまで出てきた。屋上緑化は実にすばらしいことだと思うが、ホタルを飛ばすのはいかがなものだろう。都会のビルの昼場や小学校の校庭のホタルビオトープ、これらも納得のいくものではないが、今度は、なんと屋上である。ホタルはビルの屋上で生まれ育つ昆虫か?ホタルビオトープは、ホタルの卵~羽化まで、ホタルや餌となるカワニナが生息するに適した「水づくり」「土づくり」を基本に開発した技術に留まっており、ホタルが自然繁殖する環境ではない。開発を手がける大手ゼネコンなどの目的も、結局、エコ・ヒーリング、ホテルや商業施設の集客、ブランドイメージ向上などに活用としており、人々のためにホタルを利用するだけのことである。屋上に放つホタルは、どこから入手するのだろう。ホタルの養殖業者か。需要が高まれば、養殖業者は更に自然環境からホタルを乱獲する。
ホタルビオトープは、ホタルを里山の結晶、自然環境の象徴からどんどん遠ざけるだけでなく、里山に舞うホタルを絶滅させることにつながる。
「東京にそだつホタル」