折爪岳のヒメボタルを紹介したい。本ブログでは、昆虫の記事に関しては撮影地の表記をしていないが、今回は、広く知られた場所であり、また、ヒメボタルと自然環境の保全・保護のために、あえて場所を表記して紹介することにした。
折爪岳は、岩手県二戸市、九戸郡軽米町、同郡九戸村を山域に持つ標高852.2mの山であり、東北でも有数のヒメボタル生息地となっている。7月上旬から中旬頃には、山頂から中腹にかけて、総数100万匹とも言われるヒメボタルが飛び交うことで知られている。
折爪岳のヒメボタルには、2006年、2008年、2010年と訪れているが、いずれも良い写真がが撮れていなかったため、今回、7年ぶりに行くことにした。
16日、朝4時半に自宅を出発し、途中で親友を乗せて650km先の岩手へ向かった。東京は晴れであったが、岩手県に入ると猛烈な雨。十和田方面は、雨で通行止めになるほどである。九戸ICを降りて折爪岳に到着すると、雨は小降りになったが、今度は台風であるかのような強風。そして濃霧。宿泊する山の家で、とりあえず待機である。
雨が止み霧も薄くなった18時半。撮影ポイントでスタンバイする。風は時折強く吹くが、ヒメボタルは光ってくれることを願うしかない。森の中が暗くなった19時44分。ようやくヒメボタルが光り始めた。前日は、大乱舞であったようだが、この日は風が吹いていることと気温が低めであることから、多くの数が飛翔することはなかった。それよりも、車のヘッドライトが発光と飛翔の妨げになっていた。本来は通行止めになるのだが、この日は悪天候であったため通行止めにしていなかったのだ。車のライトが当たると一斉に発光を止めてしまい、しばらく発光しない。こんな状況が続けば、大きな影響がある。私も車で来たが、通ったのは14時半。帰るのは翌朝である。車で来る場合は、ホタルが光り出す時間より前に来ること、そして光り終わってから帰ることが必要だ。これは、どの場所でも同じで、ゲンジボタル、ヘイケボタルでも同様である。これは、マナーではなく鉄則である。鑑賞者には厳守頂きたい。勿論、手に懐中電灯を持ってもいけない。明るい時間から、ホタルが舞う場所で待機していれば、懐中電灯はいらない。
天候と車のライトという悪条件が重なったが、十分な観察はできた。また、他地域を含めたヒメボタルの写真において、昨今多く見かける「光の絨毯」のような作り上げたものではなく、品位のある「折爪岳のヒメボタル」の風景を描くことができたと思う。(ほとんどのヒメボタルは飛翔することなく、同じ葉上で発光しているだけであることが写真からも分かる。)
*以下の掲載写真は、クリックしますとオリジナルサイズで拡大表示されます。
ヒメボタル
Canon EOS 5D Mark Ⅱ / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE / バルブ撮影 F1.4 14分多重 ISO 1600(撮影地:折爪岳/2017.7.16)
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